減債基金係数って何?

1章

減債基金係数とは

減債基金係数とは、複利運用しながら目標額にするために毎年いくら積み立てれば良いかを求める計算に用いる係数です。現価係数と似ているのですが、違いはわかるでしょうか。
現価係数は1回、一括で購入したものを持ち続ける場合に使われる係数ですが、減債基金係数は毎年同じ額を購入し持ち続ける場合に使われます。キーワードは積立です。
図にするとこんな感じです。

現価係数

減債基金係数

計算式は以下の通りです。

目標額 × 減債基金係数 = 毎年の必要額

今まで通りシンプルですね。
減債基金係数を使わないで毎年の必要額を求めることもできますが・・・

目標額 × a/{(1+a)b-1} = 毎年の必要額

という感じです。そろそろ係数の便利さがわかってきたでしょうか。係数は掛け算の複雑な部分を一つの言葉でまとめることで理解を容易にしています。

今回は「減債基金」と言葉の意味が分かりにくくなっていますので、簡単に減債基金係数を言葉から理解していきましょう。「減債」とは負債を減らすこと、「基金」とは目的のために準備しておく資金のことです。つまり「減債基金」とは、負債を減らすために準備しておく資金のことです。

まだわかりにくいですね。元々、減債基金とは借金を少しずつ返すために作られた言葉のようです。つまり、今回の積み立ての話とは違った前提で作られています。しかし、仕組みが同じなのでこの言葉になっているのだと思います。だから、分かりにくい言葉になっていたのですね。
少しは意味が取れたでしょうか。

具体的な減債基金係数

Aさんは毎年の積み立てでマツダCX-3を買うことにしました。5年後に260万円です。今までの係数の例と同じように年利率5%のeMAXIS Slim米国株式を5年間積み立てます。毎年いくら積み立てれば良いでしょうか。
このような時に減債基金係数を使います。年利率5%、積み立て期間5年間の時の減債基金係数は0.181でした。計算式に当てはめると、

2,600,000(目標額) × 0.181(減債基金係数) = 470,600円(毎年の積立額)

毎年47万円を積み立てていくと5年間で260万円の資金が用意できると分かりました。頑張ればなんとかなるかなと思ったAさんは年間47万円の積み立てを始めましたとさ。

ちなみに、毎年470,600円を5年間積み立てるならば、合計の必要資金は5年間で2,353,000円です。一括で購入するならば、現価係数のブログで求めたように今現在に2,038,400円あれば良いのです。単純な必要資金で考えると早めの購入の方がお得ですが、このAさんのように「今は全額払えないよ!」という時には積み立ての方が便利ですね。

試験ではこう出る

減債基金係数は他の係数との違いを問われる問題が出題されます。状況を整理し、どの係数を使う場面なのか判断しましょう。「6つの係数」問題は過去44回の試験で32回出題される必須問題です。3択問題の初め(第31問)に出されることが多いです。

問題1

一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、(  )である。(2021年5月)

  1. 現価係数 2. 減債基金係数 3. 資本回収係数
問題2

900万円を準備するために、15年間、毎年均等に積み立て、利率(年率)1%で複利運用する場合、必要となる毎年の積立金額は、下記の<資料>の係数を使用して算出すると(  )である。
(2020年9月)

  1. 516,780円 2. 558,900円 3. 600,000円
答え

問題1 2. 減債基金係数

積み立てありで、目標額(分かっている)から必要額を求める場合は減債基金係数を使います。
積み立ての有無で現価係数と減債基金係数を判断します。

問題2 2. 558,900円

積み立てありで、目標額から必要額を求める場合は減債基金係数を使います。
900万 × 0.0621の計算の結果、2.が答えと分かります。
現価係数の章の問題と同じ問題でした。身についてきましたか?

まとめ

減債基金係数は積み立て複利運用をする場合、目標額を達成するために毎年いくら積み立てる必要があるかを求める計算に使う。

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