資本回収係数とは
資本回収係数とは、現在の元本を運用したまま取り崩す場合、目標年間、毎年定額で取り崩すならば毎年いくらずつ取り崩すことが可能かを求める計算に使う係数です。
また新しい形になりますが図にするとこんな感じです。
資金回収係数
計算式は次のとおりです。
元本 × 資本回収係数 = 毎年の取り崩し額
また、資金回収係数は上記で説明した以外にも元利均等返済額の計算にも使われます。(解説はまた後で)
資本回収係数を使わない計算方法は以下の通りです。何度も言いますが覚える必要は全くありません。
元本 × a/{1-(1+a)-b} = 毎年の取り崩し額
aが年利率、bが取り崩し年数です。
具体的な資本回収係数
Aさんは40年間頑張って働いて、運用資金が2000万円になりました。これで老後も安心です。これを20年間かけて年金として取り崩していこうと考えています。毎年いくらずつ取り崩すことができるでしょうか。
今までの係数の例と同じように年利率5%のeMAXIS Slim 米国株式を続けていくとするとします。年利率、取り崩し年数がわかっているので資本回収係数が決まります。今回の場合は0.0802となります。計算式に当てはめると、
2,000万(運用元本) × 0.0802(資本回収係数) = 1,604,000円(毎年の取り崩し額)
となります。つまり、20年間、毎年160万円を取り崩すことができるということです。
試験ではこう出る
資本回収係数は他の係数との違いを問われる問題が出題されます。資本回収係数は他の係数に比べ判別がつきやすい係数ではないでしょうか。「6つの係数」問題は過去44回の試験で32回出題される必須問題です。3択問題の初め(第31問)に出されることが多いです。
問題1
元金3,000,000円を、利率(年率)2%で複利運用しながら7年間にわたって毎年均等に取り崩して受け取る場合、毎年の受取金額は、下記の〈資料〉の係数を使用して算出すると( )となる。
(2015年1月)
- 403,500円
- 463,500円
- 492,300円
問題2
借入金額300万円、利率(年率・複利)3%、返済期間5年、元利均等返済でローンを組む場合、毎年の返済額は、下記の<資料>の係数を使用して算出すると、( )である。(2021年1月)
- 565,200円
- 655,200円
- 695,580円
答え
問題1 2. 463,500円
複利運用資金を毎年切り崩す場合は、資本回収係数を使います。
計算式に当てはめると、3,000,000 × 0.1545 = 463,500となるため、
答えは2です。
問題2 2. 655,200円
一見資金の取り崩しには見えませんが、相手目線で見ると資本回収係数を使うことがわかります。
「元本」の代わりに借入金額、「○年にわたって取り崩す」の代わりに「一定額で○年かけて返済」が同じ意味になっています。そのため、計算式は以下の通りです。
300万 × 0.2184 = 655,200
以上より、答えは2になります。
まとめ
資本回収係数は定額取り崩しの際に毎年いくらずつ取り崩すことができるかの計算に使う。
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